【飲食店】ドリンク発注の目安と黄金比とは?失敗しない在庫管理のコツ

飲食店のドリンク発注の目安や黄金比、ビール・焼酎・ワインの適正な在庫量の考え方を解説し、発注の悩みを解消する内容です。

「うちの席数だと、ビールや焼酎、ワインをどれくらい発注するのが普通なんだろう。」

そう悩んだことはありませんか。

発注を減らすと、営業中に樽が切れる不安があります。逆に多くすると、冷蔵庫も倉庫もパンパンになって、月末の請求書を見て冷や汗が出ます。

開業1年目のオーナーさんや、どんぶり勘定から抜け出したい二代目店主さんから、私たちが日々聞くお悩みの多くが、この「ドリンクの発注量がわからない」という声です。

ここでは、飲食店のドリンク発注の一般的な目安と黄金比。そして、私たち亀屋矢崎商店が現場でお手伝いしてきた一次情報を交えながら、失敗しない在庫管理の考え方をお伝えします。

あなたのお店の冷蔵庫を思い浮かべながら、読み進めていただけたら嬉しいです。

目次

飲食店のドリンク発注が不安になる本当の理由とは

ドリンクの発注が難しいのは、オーナーさんの計算が苦手だからではありません。構造的に難しい要素が重なっているからです。

理由は大きく3つあります。

飲食店の発注を難しくする「日々の客数の揺れ」とは

1つ目の理由は、客数が日によって大きく揺れ動くことです。

私たちがお伺いする飲食店でも、平日は落ち着いているのに、金曜日になると一気に満席になる光景をよく見ます。

逆に、雨の日は静まり返るような状況でも、近くでイベントが開催された日は想定以上の来店が続き、「樽が持つか心配で、営業中に何度もストックを確認してしまった」と話されるオーナー様もいました。

この振れ幅こそ、飲食店が発注を難しく感じる大きな要因です。

同じ席数であっても、必要なドリンク量は日によって大きく変わります。だからこそ、「毎日同じ発注で良い」とは割り切れず、店長さんが不安を抱えるのも無理はありません。

私たち自身も現場でその揺れを何度も目にしてきたからこそ、状況に合わせた発注を一緒に組み立てることを大切にしています。

店ごとに異なる「お客様の好み」が発注量を左右する理由

2つ目の理由は、お客様の好みが店ごとに大きく異なることです。

同じ20席という規模であっても、まったく違う発注バランスになることを、私たちは日々の訪問で肌で感じています。

ある三鷹のバルでは、来店されるお客様の多くがクラフトビール好きで、生ビールの樽が想定以上のスピードで空いていきます。

一方で、同じ席数の相模原の居酒屋では、仕事帰りのお客様が多く、「まずはハイボール」の注文が圧倒的に多いという特徴がありました。

オーナー様は「ビールを多めに仕入れていた頃は在庫が減らず、逆にハイボールの仕込みが追いつかなかった」と振り返っていました。

このように、ドリンクの動きは席数ではなく、客層や店の雰囲気によって左右されます。だからこそ、発注の型は店ごとに異なり、一度お話を伺うだけでも「最適なバランス」が見えてくることが多いのです。

私たちもそれぞれの店の“色”を知りながら、本当に合う発注量を一緒に考えることを大切にしています。

「日持ちする安心感」が在庫過多を招き、発注を難しくする理由

3つ目の理由は、ドリンクは比較的日持ちするため、つい多めに抱えてしまいやすいことです。

「どうせ使うから。」

その小さな安心感が、気づけば棚の奥に眠るボトルを増やし、在庫がじわじわ重くなる原因になります。

実際に、吉祥寺で開業したばかりのバルのオーナーさんから、こんな言葉を聞いたことがあります。

「開店して最初の1ヶ月は、とにかく不安で、冷蔵庫がスカスカだと落ち着かなかったんです。」

「結果的に、ビールもワインも『保険のため』につい多めに発注してしまって、月末の請求書を見た瞬間、胃がキュッとなりました。」

この“不安”こそが、ドリンク発注を難しくしている核心です。不安があると、人は在庫を増やして安心しようとします。しかし、その安心は長く続かず、気づくと「在庫の金額」が心の負担に変わります。

だからこそ、まずは「一般的な目安」を知り、自分の中に一本の物差しを持つことが大切です。物差しがあるだけで、発注の迷いが少しずつ減り、お店の数字がクリアに見えてくるようになります。

ここから始める「飲食店のドリンク発注目安」基本の考え方

ドリンクの発注目安を考えるとき、最初に押さえておきたいのが、料理とドリンクの売上バランスです。

私たちが日々訪問している居酒屋やバルでも、このバランスによって必要なドリンク量が大きく変わります。

多くのお店では、料理とドリンクの売上構成比が「料理6:ドリンク4」前後で落ち着くことが多いです。

料理をしっかり楽しむレストラン寄りの業態なら「料理8:ドリンク2」。逆に、お酒を主役にしたバーに近い雰囲気のお店では「料理2:ドリンク8」に近づくこともあります。

私たちが以前、吉祥寺のビストロオーナーさんとメニュー構成を見直した際も、料理の比率が高いにもかかわらず、ドリンクを多めに仕入れてしまう癖がありました。

「なんとなく不安でドリンクも多めにしていたけれど、実際には料理寄りの構成だったと気づいて、初めて仕入れが腑に落ちました。」とおっしゃっていたのが印象的でした。

このバランスを頭に置きながら、発注量は次の三つの流れで考えると、驚くほど整理しやすくなります。

  1. 1日のドリンク杯数をざっくり出すことです。
  2. ジャンル別の構成比を決めることです。
  3. 杯数をボトルや樽の本数に変換し、在庫日数を設定することです。

難しそうに見えるかもしれませんが、どれも中学レベルの計算で十分です。

私たちも実際に、電卓を使いながらオーナー様と並んで計算していくことが多く、「数字に強くなくてもできるんだな」と安心される方がほとんどです。

ここから、この三つのステップを一つずつ丁寧にお伝えしていきます。

席数から逆算する「飲食店 ドリンク発注の目安」計算ステップ

まずは、あなたのお店の席数と、おおよその来店人数を思い浮かべてください。

ここでは、開業1年目のバルオーナーさんによくある条件で考えてみます。

・席数は20席。
・平日の平均来店は25名。
・週末は35名。
・1人あたり2.5杯ほどドリンクを飲んでくれる。

このようなイメージです。

1週間の来店数は、平日4日で100名。
週末3日で105名。
合計で約205名になります。

1人あたり2.5杯なら、205名×2.5杯で、1週間のドリンク杯数は約510杯です。

ここまで出せると、だいぶイメージがわきやすくなります。

次に、この510杯を、ビールやハイボール、焼酎、ワインなどにどのくらいの割合で分けるかを決めます。例えば、居酒屋やバルで多い構成として、次のようなイメージがあります。

・生ビールは全体の35%。
・ハイボールやサワー類も35%。
・焼酎が15%。
・ワインが10%。
・その他のカクテルや日本酒が5%。

この割合で計算すると、ビールは510杯×35%で約180杯。
ハイボールやサワーも同じく約180杯。
焼酎は約75杯。
ワインは約50杯。
その他が約25杯となります。

あとは、この杯数を「1本あたり何杯取れるか」で割るだけです。

ビール・焼酎・ワイン別「最小発注数」の考え方と具体例

ここからは、ジャンル別に「最小発注数」の考え方を見ていきます。

生ビール樽の発注本数の目安

生ビールの発注で一番怖いのは、営業中に樽が切れてしまうことです。

一方で、置きすぎると冷蔵スペースも圧迫し、賞味期限との闘いにもなります。

中ジョッキを基準にすると、10リットル樽で約25杯。20リットル樽で約50杯が目安です。

先ほどの例で、1週間に180杯出るなら、20リットル樽で約3.6本分です。

つまり、1週間あたり4本あれば足りる計算になります。

ここで大切なのは、4本すべてを一度に仕入れる必要はないということです。

私たちが20席前後のバルにおすすめしているのは、最初は20リットル樽を2〜3本キープするスタイルです。週の途中で動きを見ながら、足りなければ追加発注をかけるイメージです。

ある吉祥寺のバルオーナーの佐藤さんは、開業当初、「不安だから。」という理由で20リットル樽を5本も抱えていました。

冷蔵庫を開くたびに樽ばかりが目に入り、「料理の仕込みより在庫のことを考えてしまう」と笑っていました。

そこで、来店数や過去1ヶ月の売上を一緒に振り返りながら、「まずは3本スタート」に切り替えました。

結果として樽切れは一度も起きず、冷蔵庫のスペースにも心にも余裕が生まれました。

「在庫より、お客様の顔を見る時間が増えました。」という言葉が印象的でした。

焼酎ボトルの最小発注本数の目安

焼酎は1.8リットルボトルなら、90ミリリットルどりで20杯前後が一つの目安です。

1週間に75杯出る店なら、4本でちょうど良いくらいです。

ただし、焼酎は銘柄数を増やしすぎると在庫が重くなりがちです。

相模原の老舗居酒屋の二代目、田村さんは、就任当初、カウンター背面に20種類以上の焼酎を並べていました。

「父の代からの銘柄も、自分が好きで増やした銘柄も、どれも減らせなくて。」

そう話しながら、空きそうで空かないボトルを眺めていました。

そこで、動きの良い銘柄と、思い入れのある銘柄を一緒に整理しました。

結果的に、メインの芋焼酎2銘柄と、麦焼酎1銘柄を中心に据え、その他は季節限定などで回していくスタイルにしました。

発注本数も、メイン銘柄は3〜4本。他は1本ずつからのスタートに変更しました。

「棚に余裕ができて、ボトルが一本一本、前よりも大事に見えるようになりました。」

そう笑顔で話してくださったのを覚えています。

ワインの発注本数とラインナップの作り方

ワインは、種類を増やしすぎると在庫の金額が一気にふくらみます。グラス売りがメインなのか、ボトル売りがメインなのかによっても変わります。

20席前後のバルで、グラスワインとボトルワインを両方扱う場合、私たちがよくおすすめするスタートは次のようなイメージです。

・グラス用のハウスワインは、赤と白でそれぞれ3〜4本。
・ボトル売り用は、3〜5種類を各1〜2本。

あるとき、開業半年のバルのオーナーさんに、ワイン棚を見せてもらいました。

一列目に並ぶのは、よく出ているハウスワイン。その奥には、ラベルにうっすらホコリをかぶったボトルが何本も眠っていました。

「試飲会のたびに、つい新しいワインを増やしてしまって。」照れ笑いしながらも、どこか申し訳なさそうな表情でした。

そこで、ハウスワインを「うちの店の味」としてしっかり打ち出すこと。

ボトルワインは、「お客様と会話が生まれるストーリー性のある3〜5本」に絞ることを提案しました。

「自分が本当におすすめしたいワインだけを残したら、説明するときの声が自然と大きくなりました。」

そう話してくださったとき、ドリンク発注は数字だけではなく、気持ちの整理でもあるのだと改めて感じました。

在庫は何日分が適正?飲食店のドリンク在庫日数の目安

次に考えたいのが「何日分の在庫を持つか」です。

在庫日数は、ビールとその他の酒類で分けて考えるとわかりやすいです。

生ビールは、鮮度と冷蔵スペースの問題があるため、3〜5日分を目安にするお店が多いです。ドリンクの中でも回転が早く、売れ筋の柱になることが多いので、頻度高く発注してフレッシュに保つ方が安心です。

一方で、焼酎やウイスキー、ワイン、日本酒などは、7〜14日分を持つお店も多いです。常温で保管できるものも多く、ビールほどスペースを圧迫しないからです。

・先ほどの20席バルを例にすると、ビールは20リットル樽を2〜3本。
・焼酎はメイン銘柄3〜4本。
・ワインはハウス3〜4本、ボトル用に数本。
・これでまずは1週間を回してみる。
・動きが見えてきたら、徐々に全体の在庫日数を短くしていく。
そんなステップが現実的です。

開業直後は、どうしても不安から「多め多め」に振れがちです。

私たちは、オーナーさんが安心できる範囲で少しだけ在庫を軽くし、それを続けても問題がないことを一緒に確認していきます。

何度かそれを繰り返すうちに、オーナーさんの表情から「在庫の不安」が少しずつ消えていく瞬間があります。その瞬間に立ち会えるのが、酒屋としての大きな喜びです。

発注を「勘」から「仕組み」に変える4ステップ

ここでは、私たちがよくお店と一緒に実践している、ドリンク発注のシンプルな仕組みをお伝えします。

特別なシステムは不要です。紙のノートと電卓があれば始められます。

① 主力ドリンクの「空いた本数」を毎週メモする。
② 空いた本数 ÷ 営業日数で「1日平均の使用本数」を出す。
③ 平均使用量 × 在庫日数で必要な本数を計算する。
④ 天候・イベントなど外的要因を踏まえて微調整する。

1つ目のステップは、主力ドリンクの「空いた本数」を毎週メモすることです。
ビール樽が何本空いたのか。
焼酎のボトルが何本空いたのか。
ハウスワインは何本空になったのか。
これをざっくりで構わないので、週ごとにメモします。

2つ目のステップは、「1週間で空いた本数」÷「営業日数」で、1日あたりの平均使用本数を出すことです。
例えば、ビール20リットル樽が1週間で3本空き、営業日数が6日なら、1日あたり0.5本です。
これは、中ジョッキ約25杯分にあたります。

3つ目のステップは、「平均使用量×在庫日数」で、必要な本数を計算することです。
もしビールを4日分の在庫にしたいなら、0.5本×4日で2本です。
すでに冷蔵庫に1本残っているなら、追加で1本発注すれば良いとわかります。

4つ目のステップは、天候やイベントなどを加味して、最後に微調整することです。
雨予報が多い週は少し控えめに。
連休やイベントがある週は少し多めに。
こうした微調整は、オーナーさんの感覚が活きる部分です。

ある居酒屋の二代目店主さんは、このシンプルな方法を続けて3ヶ月後、こう話してくれました。

「それまでは、毎回仕入れのたびに『これで足りるかな』と心の中でざわざわしていたんです。」

「今は、数字を見てから『これなら大丈夫』と自分で判断できるようになりました。」

勘を否定するのではなく、勘に数字という根拠を足してあげる。そのイメージで、発注のストレスがずいぶん軽くなります。

亀屋矢崎商店が大切にしている「一緒に悩む酒屋」であること

ここまでの話を読んで、「頭ではわかったけれど、実際に計算するとなると不安だな。」そう感じた方もいらっしゃると思います。

私たち亀屋矢崎商店は、長く同じエリアのお店とお付き合いしてきたことで、開業1年目のバルから、何十年も続く老舗居酒屋まで、さまざまなステージのお店の悩みと向き合ってきました。

あるときは、開店前の静かな店内で、オーナーさんと二人で冷蔵庫の中を覗き込みながら、一本一本指さして本数を数えました。

別の日には、閉店後のカウンターで、売上表と仕入れ伝票を並べて、赤ペン片手に「ここをもう少し軽くしましょうか」と一緒に考えました。

私たちが大切にしているのは、「正解を押し付ける酒屋」ではなく、「一緒に悩んでくれる酒屋」であることです。

ビールの種類も、焼酎の銘柄も、ワインのラインナップも、お店によって正解が違います。だからこそ、そのお店の席数、客層、料理、目指したい雰囲気を丁寧にお聞きして、その場その場でベストな発注の目安を考えていきます。

「こんなこと聞いていいのかな。」そう遠慮していたオーナーさんが、何度かやり取りを重ねるうちに、気軽に電話をくださるようになる瞬間があります。

それは、私たちにとって何度味わっても嬉しい瞬間です。

まとめ:ドリンク発注の不安を手放して、お客様と向き合う時間を取り戻しましょう

最後に、ここまでのポイントを簡単にまとめます。

飲食店のドリンク発注が難しいのは、客数のブレや好みの違い、不安からの「保険発注」が重なっているからです。

だからこそ、

・席数と来店人数から1週間のドリンク杯数をざっくり出すこと。
・ビールやハイボール、焼酎、ワインの構成比を決めること。
・杯数をボトルや樽の本数に変換し、在庫日数を決めること。

この流れを一度体験してみることが大切です。

・ビールは3〜5日分。
・その他の酒類は7〜14日分を目安にしながら、実際の動きに合わせて微調整していく。
・主力ドリンクの空いた本数をメモし、1日平均を出して発注に活かす。

このシンプルな習慣を続けるだけで、「勘だけの発注」から一歩抜け出すことができます。

そして何より大切なのは、オーナーさんが在庫の不安から解放されることです。

冷蔵庫を開くたびに、ため息ではなく、小さな安心を感じられるようになることです。その先に、お客様の顔をじっくり見て接客できる時間や、新しいメニューを考える余裕が生まれます。

「うちの店の場合は?」と思ったら、亀屋矢崎商店へお気軽にご相談ください

ここまで読んでくださったあなたは、きっとお店の数字と真剣に向き合おうとしている方だと思います。

同時に、「とはいえ計算はちょっと苦手だな。」と感じているかもしれません。

そんなときほど、私たちの出番です。

席数や客単価、平均来店人数。
どんなお客様に来てほしいのか。
どんな料理を主役にしたいのか。

少しだけお話を聞かせていただければ、あなたのお店専用の「ドリンク発注の目安」を一緒に作ることができます。

例えば、こんな流れでお手伝いしています。

まずは、電話や対面でお店の状況をヒアリングします。次に、現在のドリンクメニューと在庫の様子を、一緒に確認します。

必要であれば、冷蔵庫やバックバーの写真を見ながら、本数を具体的に調整します。

開業直後やメニュー変更の直後には、1〜2ヶ月ほど、毎週の動きを見ながら発注量を微調整していきます。

「ドリンクの発注、これで合ってますか。」

その一言からのご相談で十分です。

東京、埼玉、神奈川で飲食店を営んでいて、ドリンクの発注や在庫管理に少しでも不安がある方は、どうぞ亀屋矢崎商店にお声がけください。

一緒に冷蔵庫を覗き込みながら、あなたのお店にぴったりのドリンク発注の形を探していきます。

あなたのお店が、地域で長く愛される一軒になること。そのお手伝いができたら、私たちはとても嬉しいです。

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