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お店の定番料理に対して、どの種類のお酒を組み合わせると客単価アップにつながるのか、考え出すと手が止まってしまいますよね。
「うちの唐揚げには結局どれを推せばいいのですか」と相談を受けるたび、私たちもその迷いの重さを実感します。
メニュー変更は勇気が要りますし、外したときの在庫の不安もあります。
さらに、忙しい営業中に説明が長い提案は、現場では回りにくいのが本音です。だから私たちは訪問や打ち合わせの場で、まず「選択肢を増やすより、迷わず選べる2択を作りましょう」とお伝えします。
実際、ある定食店様では、揚げ物に「定番のレモンサワー」と「香り系ハイボール」の2択を添え、ドリンク価格を「定番・おすすめ・ご褒美」の3段に整えただけで、追加の一杯が増えました。
スタッフさんの声かけも、「AかB、どちらにしますか」の10秒で十分に回ったのです。飲食店全般で共通して効くのは、料理の魅力を引き立てる“選びやすさ”を先に用意することです。
客単価を上げるドリンクの合わせ方は「2択ペアリング」が最短ルートです
なぜ2択が効くのかを、現場目線で説明します
お客様は“選べない”のではなく、“失敗したくない”のです。
知らないお酒を頼んで料理と合わなかったら、せっかくの一杯がもったいないです。だから最後は「いつもの」に戻ります。
ここで2択があると、空気が変わります。私たちも訪問の打ち合わせで、まず2択を一緒に作ります。
定番:安心して頼める一杯です。
ちょっと特別:気分が上がって「今日はこれにしよう」と言いたくなる一杯です。
さらに2択が強い理由は、スタッフの口が回ることです。忙しい現場ほど、説明が長い提案は消えていきます。
2択なら「AかB、どちらにしますか」で統一でき、誰が立っても同じ品質で提案できます。結果として、追加の一杯が自然に増えやすいです。も同じ言い方で回せます。

まず整えるのは「ドリンクの価格の階段」3段です(迷わせない設計です)
ここでは、ドリンクメニューの並べ方を“3段”で固定します。増やしすぎないことが大切です。
一段目:定番(入口) … とりあえずの安心になる一杯です。
二段目:おすすめ(真ん中) … ここが一番の売れ筋になりやすい一杯です。
三段目:ご褒美(上) … 〆や二杯目で選ばれやすい、少し特別な一杯です。
私たちが訪問でよく見るのが、「定番は揃っているのに、真ん中が薄い」状態です。
ビール・ハイボール・レモンサワーまでは並んでいるのに、その次がいきなり高級ボトルだけになっていることがあります。これだとお客様は飛べません。だからこそ、自然に手が伸びる飛び石(真ん中)が必要です。
価格のイメージ例です(お店の価格帯に合わせて調整できます)
定番:600円前後
おすすめ:780〜980円
ご褒美:1,200円〜(少量提供、限定、樽感など選ぶ理由があるものが向きます)
定番料理×客単価アップの「2択ペアリング」事例集(そのままメニューに書けます)
ここからは、定番料理に対して「定番/ちょっと特別」の2択をセットで並べます。ポイントは、専門用語で飾らず、味の理由を一言だけ添えることです。
私たちも訪問先でメニューを一緒に整えるときは、「お客様が3秒で理解できる言葉」だけに絞ります。
たとえば「油を流す」「香りが立つ」「旨味が伸びる」「口がさっぱりする」といった短い言葉です。
これだけで、お客様は安心して“いつもの一杯”から一段上を選びやすくなりますし、スタッフも「AかB、どちらにしますか」で迷わず提案できます。結果として、追加の一杯が自然に増え、客単価アップにつながりやすいです。
唐揚げに合うドリンクの提案で、客単価を上げる
唐揚げは、多くの飲食店で人気の高い定番メニューです。
だからこそ、合わせるドリンクの提案次第で、満足度も追加注文率も変わります。ポイントは、油の重さをすっきり流す炭酸と、香ばしさを引き立てる香りのある一杯を使い分けることです。
定番として合わせやすいのは、レモンサワーです。強炭酸と柑橘の酸味が唐揚げの油を軽やかに感じさせ、次のひと口も進みやすくなります。迷ったときに勧めやすく、幅広いお客様に受け入れられやすい組み合わせです。
少し特別感を出したいなら、香り系のハイボールもおすすめです。
柑橘や樽由来の香りが唐揚げの香ばしさを引き立て、定番の一品でも満足感を一段上げやすくなります。いつものレモンサワーとは違う選択肢を用意することで、「もう一杯」のきっかけもつくれます。
接客で使えるひと言
「唐揚げでしたら、すっきり飲めるレモンサワーか、香りを楽しめるハイボールがよく合います。」
メニューに載せやすい文言
香り系ハイボール:香ばしさを引き立てて、満足感を高める一杯
レモンサワー:唐揚げの油をすっきり流す、定番の一杯
焼き鳥(タレ)に合うドリンク提案で、客単価を上げる
焼き鳥のタレ味は、甘みとコク、香ばしさがしっかりあるため、合わせるドリンクによって印象が大きく変わります。定番の安心感を出すのか、少し特別感のある提案で満足度を高めるのか、この使い分けが客単価アップのポイントです。
まず定番として提案しやすいのは、瓶ビールです。焼き鳥の香ばしさを心地よく引き立てながら、タレのコクも重たくなりすぎず、全体をバランスよくまとめてくれます。幅広いお客様に受け入れられやすく、迷ったときにも勧めやすい一杯です。
少し特別感を出したいなら、軽めの赤ワインも相性のよい選択肢です。タレの甘辛さを赤系果実のやわらかな風味が受け止め、後味をきれいに整えてくれます。いつもの焼き鳥に少し新鮮さを加えられるため、単価アップにつながる提案としても活用しやすい組み合わせです。
接客で使えるひと言
「タレの焼き鳥でしたら、定番の瓶ビールはもちろん、軽めの赤ワインもよく合います。香ばしさを楽しむならビール、コクをゆっくり味わうなら赤ワインがおすすめです。」
メニューに載せやすい文言
軽めの赤ワイン:甘辛いタレに寄り添い、後味をきれいにまとめる一杯
瓶ビール:タレのコクと香ばしさを気持ちよく引き立てる定番の一杯
焼き鳥(塩)に合うドリンク提案で、客単価を上げる
焼き鳥の塩味は、素材の旨味や脂、焼きの香ばしさがまっすぐ伝わるぶん、合わせるドリンクの印象がそのまま満足度に直結します。だからこそ、定番の安心感がある一杯と、少し印象に残る一杯の両方を用意しておくと、提案の幅が広がり、客単価アップにもつながります。
まず定番として提案しやすいのは、辛口の日本酒です。すっきりとしたキレが脂と旨味を心地よく整え、塩味の良さをくっきりと引き立てます。焼き鳥そのもののおいしさを素直に楽しみたいお客様に勧めやすい組み合わせです。
少し特別感を出したいなら、ジンソーダもおすすめです。ハーブや柑橘の香りが塩味の輪郭を引き締め、焼きの香ばしさをふわりと広げてくれます。定番の居酒屋メニューでも、少し洗練された印象を演出しやすく、追加の一杯を提案するきっかけにもなります。
接客で使えるひと言
「塩の焼き鳥でしたら、辛口の日本酒ですっきり合わせるのもおすすめですし、ジンソーダで香りを立たせるのもよく合います。」
メニューに載せやすい文言
ジンソーダ:ハーブと柑橘の香りで、焼きの香ばしさを広げる一杯
辛口の日本酒:塩味の良さと旨味をすっきり引き立てる一杯
刺身に合うドリンク提案で、客単価を上げる
刺身は、素材そのものの旨味や香り、食感を楽しむ料理です。味わいが繊細なぶん、合わせるドリンクによって満足度が大きく変わります。定番の安心感がある一杯と、少し華やかさを添える一杯の両方を用意しておくと、追加注文や単価アップにつながりやすくなります。
まず定番として提案しやすいのは、辛口の日本酒です。刺身の香りを邪魔せず、すっきりとしたキレで旨味を支えてくれるため、食中酒として安定感があります。魚の持ち味を素直に楽しみたいお客様にも勧めやすい組み合わせです。
少し特別感を出したいなら、スパークリングもおすすめです。泡の爽快感が口の中を心地よく整え、最初の一杯を華やかに演出してくれます。食事のはじまりに高揚感を生みやすく、「もう一皿」「もう一杯」につながる提案としても活用しやすい組み合わせです。
接客で使えるひと言
「刺身でしたら、辛口の日本酒ですっきり合わせるのはもちろん、最初の一杯にスパークリングを合わせて華やかに楽しむのもおすすめです。」
メニューに載せやすい文言
スパークリング:泡の爽快感で口を整え、華やかに楽しめる一杯
辛口の日本酒:刺身の香りを邪魔せず、旨味をすっきり支える一杯
焼き魚(サバ・ホッケ)に合うドリンク提案で、客単価を上げる
サバやホッケのような焼き魚は、脂の旨味と香ばしさがしっかり感じられる定番メニューです。だからこそ、合わせるドリンク次第で、料理のおいしさの伝わり方も追加注文の入り方も変わります。すっきり楽しめる一杯と、旨味をじっくり味わえる一杯の両方を用意しておくと、提案の幅が広がり、客単価アップにもつながります。
まず定番として提案しやすいのは、ハイボールです。強炭酸の爽快感とキレのよさが脂を軽やかに感じさせ、焼き魚ならではの香ばしさを引き立ててくれます。重たくなりすぎず、幅広いお客様に勧めやすい組み合わせです。
少し特別感を出したいなら、燗酒もおすすめです。温度によって旨味がふくらみ、魚の脂や塩気をやさしく包み込むため、ひと口ごとの満足感が高まりやすくなります。落ち着いて料理を楽しみたいお客様には、印象に残りやすい提案になります。
接客で使えるひと言
「焼き魚でしたら、ハイボールですっきり合わせるのもおすすめですし、燗酒で旨味をふくらませながら楽しむのもよく合います。」
メニューに載せやすい文言
燗酒:旨味をふくらませ、脂と塩気をやさしくまとめる一杯
ハイボール:脂をすっきり流して、焼きの香ばしさを引き立てる一杯
煮込み・もつ煮に合うドリンク提案で、客単価を上げる
煮込みやもつ煮は、味噌や醤油のコク、具材の旨味がしっかり感じられる人気メニューです。味わいに厚みがあるぶん、合わせるドリンクによって重たく感じることもあれば、心地よく食べ進められることもあります。だからこそ、軽やかに合わせる一杯と、満足感を高める一杯の両方を用意しておくと、提案の幅が広がり、客単価アップにもつながります。
まず定番として提案しやすいのは、焼酎割りです。食中でも重たくなりにくく、煮込みの濃い味わいをしっかり受け止めながら、食べ疲れしにくいのが魅力です。日常使いしやすく、幅広いお客様に勧めやすい組み合わせです。
少し特別感を出したいなら、芋焼酎のお湯割りもおすすめです。湯気とともに立ちのぼる香りが、味噌や醤油のコクをやさしくふくらませ、ひと口ごとの満足感を高めてくれます。温かみのある提案になるため、特に落ち着いて食事を楽しみたい場面で印象に残りやすい一杯です。
接客で使えるひと言
「煮込みでしたら、すっきり飲みやすい焼酎割りも合いますし、芋焼酎のお湯割りで香りとコクをゆっくり楽しむのもおすすめです。」
メニューに載せやすい文言
芋焼酎のお湯割り:香りとコクがふくらみ、満足感を高める一杯
焼酎割り:濃い味わいに寄り添い、食中でも重たくなりにくい一杯
餃子に合うドリンク提案で、客単価を上げる
餃子は、香ばしい焼き目、ジューシーな餡、タレやにんにくの風味が重なり合う、満足度の高い定番メニューです。味の印象がはっきりしているぶん、合わせるドリンクの提案次第で、追加注文や客単価の伸び方も変わります。だからこそ、定番として安心して勧められる一杯と、少し違いを感じてもらえる一杯の両方を用意しておくことが効果的です。
まず定番として提案しやすいのは、ビールです。炭酸の爽快感とほどよい苦味が脂をすっきりと切り、餃子の香ばしさをわかりやすく引き立ててくれます。多くのお客様に受け入れられやすく、迷ったときにも勧めやすい鉄板の組み合わせです。
少し特別感を出したいなら、苦味のあるビールもおすすめです。苦味の輪郭がタレの甘みやにんにくの風味を引き締め、後味をよりシャープに整えてくれます。定番のビールよりも印象に残りやすく、もう一皿やもう一杯につながる提案としても使いやすい組み合わせです。
接客で使えるひと言
「餃子でしたら、定番のビールはもちろん、少し苦味のあるタイプを合わせると後味がすっきりして、より相性よく楽しめます。」
メニューに載せやすい文言
苦味のあるビール:タレやにんにくの風味を引き締め、後味をシャープに整える一杯
ビール:炭酸と苦味で脂をすっきり切る、餃子の定番の一杯
ポテサラに合うドリンク提案で、客単価を上げる
ポテサラは、居酒屋の定番でありながら、店ごとの個性が出やすい人気メニューです。じゃがいもの甘みやマヨネーズのコクがあるぶん、合わせるドリンクによって印象が大きく変わります。だからこそ、気軽に楽しめる定番の一杯と、少し特別感のある一杯の両方を用意しておくと、提案の幅が広がり、客単価アップにもつながります。
まず定番として提案しやすいのは、レモンサワーです。酸味と炭酸が口の中をさっぱりと整え、マヨネーズのコクを重たく感じさせにくくしてくれます。最後まで食べ進めやすく、幅広いお客様に勧めやすい組み合わせです。
少し特別感を出したいなら、白ワインもおすすめです。ほどよい酸がポテサラの甘みとコクを心地よく整え、前菜としての印象をぐっと引き上げてくれます。いつものポテサラが少し上品な一皿に感じられるため、お店全体の雰囲気づくりにもつながる提案です。
接客で使えるひと言
「ポテサラでしたら、さっぱり合わせるレモンサワーも人気ですし、白ワインで少し上品に楽しんでいただくのもおすすめです。」
メニューに載せやすい文言
白ワイン:ほどよい酸で甘みとコクをまとめ、上品に楽しめる一杯
レモンサワー:酸味と炭酸でコクをすっきり整える定番の一杯
チーズ・生ハムに合うドリンク提案で、客単価を上げる
チーズや生ハムは、塩気や脂のコクがしっかりありながら、盛り合わせや前菜としても使いやすいメニューです。だからこそ、合わせるドリンク次第で、気軽な一皿にも特別感のある一皿にも見せることができます。定番の安心感がある一杯と、少し印象に残る一杯の両方を用意しておくと、提案の幅が広がり、客単価アップにもつながります。
まず定番として提案しやすいのは、赤ワインです。果実味とほどよい渋みがチーズや生ハムの塩気、脂のコクを心地よく受け止め、口の中をきれいに整えてくれます。王道の組み合わせとして伝わりやすく、迷ったときにも勧めやすい一杯です。
少し特別感を出したいなら、樽感のあるウイスキーを少量で楽しむ提案もおすすめです。樽由来のやわらかな甘い香りと長い余韻が、チーズのコクや生ハムの旨味に重なり、ゆっくり味わう満足感を生み出します。食事のテンポを少し落ち着かせながら楽しめるため、印象に残る提案にもなります。
接客で使えるひと言
「チーズや生ハムでしたら、定番の赤ワインはもちろん、樽感のあるウイスキーを少量で合わせて、余韻をゆっくり楽しんでいただくのもおすすめです。」
メニューに載せやすい文言
樽感のあるウイスキー:甘い香りと長い余韻で、ゆっくり楽しめる一杯
赤ワイン:塩気とコクを心地よく受け止める王道の一杯
〆(お茶漬け・小さな甘味)に合うドリンク提案で、客単価を上げる
お茶漬けや小さな甘味は、食事の終盤に満足感を整える大切な一品です。ここで合わせるドリンクまで提案できると、食後の印象がより豊かになり、自然なかたちで客単価アップにもつながります。ポイントは、すっきり締める一杯と、余韻を楽しませる一杯を使い分けることです。
まず定番として提案しやすいのは、お茶です。口の中をすっと整え、食事全体をきれいに締めくくってくれます。重たさを残しにくく、最後まで心地よく食事を終えたいお客様に勧めやすい一杯です。
少し特別感を出したいなら、食後酒を少量で楽しむ提案もおすすめです。やさしい甘みや豊かな香りが食後の余韻を伸ばし、自然に「最後の一杯」をつくることができます。小さな甘味と合わせれば、食事の締めくくりに満足感を添える提案にもなります。
接客で使えるひと言
「お食事の最後は、お茶ですっきり締めるのもおすすめですし、食後酒を少量合わせて余韻をゆっくり楽しんでいただくのもおすすめです。」
メニューに載せやすい文言
食後酒の少量:甘みと香りで、食後の余韻をゆっくり楽しむ一杯
お茶:口の中をすっと整え、食事をきれいに締める一杯
営業担当の訪問・打ち合わせで実際に起きた「客単価が上がった瞬間」3つ
ここからは、私たちの現場の話です。数字の前に、店主さんの顔が変わった瞬間を思い出して紹介します。
事例1:吉祥寺エリアの小さな居酒屋様で「とりあえず生」が自然に崩れた話です
カウンター越しに店主さんが、少し照れたように笑いながら言ったのです。
「うちは常連が多いから、結局ビールで回っちゃうんです」
その言葉の奥に、悔しさがにじんでいました。料理は手間をかけているのに、ドリンクで“いつもの流れ”が固まってしまって、もう一段上の売上に届かないのです。
私たちは、その場で商品を増やす提案はしませんでした。
増やしたのは“言い方”と“選びやすさ”だけです。
打ち合わせでまず、定番料理を3つに絞りました。唐揚げ、刺身、煮込みです。
そしてそれぞれに、迷わず選べる2択を付けたのです。
唐揚げ:レモンサワー/香り系ハイボール
刺身:辛口の日本酒/スパークリング
煮込み:焼酎割り/芋焼酎のお湯割り
これを「2択の札」として、料理名の横に小さく添えました。
言葉も難しくしませんでした。「油を流す」「香りが立つ」「キレが出る」だけです。スタッフさんの声かけは、たった一行に揃えました。
「この料理はAかBが合うです。どちらにしますですか」
数日後、再訪したときのことです。店主さんがレジ横で、ふっと肩の力を抜いて言ったのです。
「これ、押し売りじゃないですね。お客さんが自分で選んでる感じがするんです」
その一言を聞いた瞬間、胸の奥がふっと軽くなりました。提案は“売る”ためだけではなく、お客さんの迷いをほどいて、料理の価値をちゃんと届かせるためにあるのだと、改めて実感したのです。
“提案”は、売り込みではなく、お客さんの迷いをほどく行為だと改めて感じたのです。
事例2:相模原エリアの老舗店様で「燗酒の一言」が客単価を作った話です
冬の入り口、店のドアを開けた瞬間、湯気と醤油の香りがふわっと鼻をくすぐったのです。
カウンターの向こうで煮込みが静かに煮えていて、店全体があたたかい色をしていました。
煮込みが看板で、料理の力は十分にあるのに、ドリンクはいつもの流れで止まっていました。ビールか、焼酎割りか。悪くないのですが、煮込みの良さがもう一段深く届く余地が残っていたのです。
私たちは燗酒の種類を増やす提案をしませんでした。増やすと迷いが増えるからです。代わりに、打ち合わせで「一言」を決めました。
「煮込みには、燗が合うです。体がほどける感じになるです」
これだけです。言葉は飾らず、短く、温度が伝わるようにしたのです。
忙しい時間でも、この一言なら言えます。スタッフさんの負担も増えません。実際に、燗酒の注文は“特別扱い”ではなく、煮込みの流れの中で自然に出るようになりました。後日、店主さんが湯気の向こうで笑って言ったのです。
「お客さんが、“今日は燗にする”って顔をするんですよ」
その表情が見えるようになると、現場は強いです。煮込みが選ばれ、燗酒が選ばれ、店の時間がゆっくり豊かになるのです。
事例3:三鷹〜荻窪エリアのモダン居酒屋様で「真ん中価格」が売れ始めた話です
打ち合わせの席で、店主さんが最初に言ったのです。
「高いのを置けば売れるわけじゃないのは分かってるんです」
その言葉は、強がりではなく現場の実感でした。値段だけ上げても、納得がなければ選ばれないですし、背伸びしすぎると店のテンポが崩れるのです。
そこで私たちは、上を増やすのではなく、価格の階段の“真ん中”を作りました。
定番とご褒美の間に、780〜980円のおすすめを置きました。ポイントは、ただ置くのではなく、料理の横にペアリングを小さく添えることです。
たとえば、揚げ物には「香り系ハイボール」、前菜には「白ワイン」、肉料理には「軽め赤」など、理由は短く「油を流す」「香りが立つ」で揃えたのです。
すると、いきなり高級ボトルに飛ばなくても、お客さんが“ひとつ上”を自然に選べるようになりました。スタッフさんも提案がしやすくなり、「おすすめ、ありますよ」の一言が空回りしなくなったのです。
後日、再訪したときに店主さんが、少し嬉しそうに言いました。
「上じゃなくて、真ん中が売れるのが嬉しいです。回るからです」
現場が回って、利益が残る。背伸びではなく、無理なく積み上がる。この形がいちばんの正解だと、私たちも改めて感じたのです。
忙しい現場でも回る「提案トーク」テンプレート(10秒・20秒・30秒)
どれだけ相性のよい組み合わせでも、現場で言いづらければ定着しません。そこで大切なのが、忙しさに合わせて使い分けられる短い提案トークです。ここでは、ピーク帯でも使いやすい10秒、少し余裕があるときの20秒、常連客との会話に広げやすい30秒の3パターンで整理します。
10秒で伝える提案
ピーク帯は、まず選びやすい二択にするのが基本です。
「この料理でしたら、AかBがよく合います。どちらになさいますか。」
20秒で伝える提案
少し余裕があるときは、味わいの違いをひと言添えると選ばれやすくなります。
「Aはすっきり楽しめて、Bは香りが立つのが特徴です。今日はBを選ばれる方も多いです。」
30秒で伝える提案
常連のお客様や会話がしやすい場面では、いつもと違う一杯を自然に勧める言い方が効果的です。
「いつもの一杯ももちろん合いますが、今日はこの料理の良さがより引き立つBもおすすめです。よろしければ試してみませんか。」
現場で使いやすくするポイント
- 30秒は“いつもと違う楽しみ方”を提案する
- 10秒は二択で迷わせない
- 20秒は違いを短く伝える
客単価アップを“怖い挑戦”にしないための、在庫と原価の考え方
ペアリング提案を始めようとすると、多くの飲食店が次の不安にぶつかります。
「売れなかったら在庫が残るのではないか」
この不安は、とても自然です。むしろ、きちんと経営を考えているからこそ出てくる感覚だと言えます。
だからこそ大切なのは、気合いや勢いで始めるのではなく、無理なく戻せる設計で始めることです。
実際に現場でご相談を受ける際も、まずは「増やすこと」より先に、「もし合わなかったときにすぐ調整できること」を重視して考えるのが基本です。
まずは“出数上位5品”だけに絞る
最初から全メニューにペアリングをつけようとすると、提案の精度も検証のしやすさも下がってしまいます。
どの組み合わせが本当に動いたのかが見えにくくなり、判断もぶれやすくなります。まずは注文数の多い5品ほどに絞り、提案の回数をしっかり確保するところから始めるのが安全です。
限られた範囲で試すことで、現場にも負担をかけにくくなります。
特別なドリンクは“転用しやすいもの”から始める
新しい提案を入れるときは、その料理専用の一本を増やすよりも、複数の料理に展開しやすいお酒を選ぶほうが在庫リスクを抑えやすくなります。
たとえば、香り系のハイボール、辛口の日本酒、白ワインなどは、比較的幅広い料理に合わせやすく、メニュー全体の中で使い回しがしやすいアイテムです。
こうした“守備範囲の広い一杯”から始めると、無理なく導入しやすくなります。
最初から満点を目指さず、“8割で回る形”をつくる
理想的なラインナップを最初から作ろうとすると、どうしても種類が増え、在庫も原価も重たくなりがちです。
けれど、導入初期に本当に大切なのは、完璧さよりも現場でちゃんと回ることです。まずは8割の完成度でも、提案しやすく、注文につながりやすい形をつくる。
そのうえで、実際の動きを見ながら少しずつ磨いていくほうが、結果として利益も残りやすくなります。
無理なく始めることが、いちばん強い
客単価アップというと、大きな変更や思い切った仕入れが必要に感じるかもしれません。
ですが実際は、売れ筋に絞ること、転用しやすい商品を選ぶこと、最初から広げすぎないことの3つを押さえるだけで、取り組みやすさは大きく変わります。
怖い挑戦にしないことこそ、長く続く仕組みづくりの第一歩です。
この考え方をもう少し深く知りたい方には、季節限定ドリンクの仕入れ量を“勘”に頼らず考える方法も参考になります。
ペアリング提案とあわせて見直すことで、在庫の持ち方や回し方がより整理しやすくなります。

また、ドリンク全体の発注の目安や、ビール・焼酎・ワイン別の最小発注数の考え方は、ここが整理しやすいです。

さらに、業態別の原価率目安をベースに“ドリンクで利益を残す設計”を確認するなら、ここが読みやすいです。

私たちが大事にしている強みは「商品」ではなく「売れる流れ」まで一緒に作ることです
私たちは、これまで飲食店様の現場で「何が回り、何が残るか」を見てきました。
ビール、日本酒、焼酎はもちろん、ウイスキーやリキュールなども含めて、お店の料理と客層に合わせた“売れる組み合わせ”を一緒に考えるのが得意です。
「扱うお酒が増えると、オペレーションが増えるです」この現場の本音を、私たちは軽く見ません。だから、増やしません。整えます。
私たちの提案(メニュー企画やフードペアリングの考え方)の全体像は、ここにまとめています。

まとめ:客単価を上げるドリンク提案は、2択のペアリングから今日すぐ始められる
ここまでお伝えしてきたポイントは、決して難しいものではありません。
まずは、定番料理に「定番」と「ちょっと特別」の2択を用意すること。
次に、ドリンクの価格帯に選びやすい幅を持たせること。
そして、忙しい現場でも回せる短い声かけを決めておくこと。
さらに、対象は出数上位の5品ほどから始めること。
この4つを押さえるだけで、「とりあえず生」で止まりがちだった注文の流れに、少しずつ変化が生まれていきます。
お客様の目線がメニューの同じ場所で一度止まり、ほんの少し考えて、「今日はこっちにしてみようかな」と選んでくださる。その小さな変化が、客単価アップのはじまりです。
料理がいつもよりおいしそうに見え、会話が少し弾み、お店の空気もほんの少し上質に変わっていく。そんな変化は、派手ではなくても、確かに売上と満足度の両方につながっていきます。
実際に現場では、無理に高単価の商品を勧めなくても、選びやすさを整えるだけで追加の一杯が自然に生まれる場面が少なくありません。
背伸びをするのではなく、選択肢をわかりやすくすること。それが、結果として静かに、しかし着実に客単価を積み上げていく方法です。
レジの数字は、こうした小さな工夫の積み重ねに、きちんと応えてくれます。
亀屋矢崎商店へのご相談のご案内です(客単価アップの“型”を一緒に作ります)
「うちの定番料理だと、2択は何がいいですか」
「ビール一本槍から抜けたいのに、在庫が怖いです」
「スタッフが言える“10秒トーク”まで作りたいです」
そんなときは、私たちに声をかけてください。訪問や打ち合わせの場で、料理・客層・客単価の現状を整理して、明日から回る形に落とし込みます。
一緒に“無理なく上がる”仕組みを作りましょう。
お電話:0422-54-3931
「とりあえず生」を卒業して、お店の定番料理が“客単価を連れてくる看板”になるところまで、私たちが伴走します。

